宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち 音楽メディア
・企画盤
音楽/BGM類
○概況と解説
本盤は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば』)・『宇宙戦艦ヤマト2』(以下、『ヤマト2』)のリメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)のヤマト音楽ファン待望のオリジナル・サウンドトラックの第1弾で、『ヤマト2202』第四章「天命篇」のイベント上映を3日後に控えた2018年1月24日に発売された。『ヤマトより愛をこめて』(2017年2月25日デジタル配信)、『「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」主題歌シングル 月の鏡』(2017年10月11日発売〈LACM-14665〉)に次ぐ『ヤマト2202』音楽関連の3番目の商品化だ。『「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」主題歌シングル 君、ヒトヒラ/CRIMSON RED/宇宙戦艦ヤマト2202』〈LACM-14708〉との同時発売となった。
音楽担当は前作『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『ヤマト2199』)から宮川彬良氏が続投しており、『ヤマト2199』と同じくオリジナル楽曲は、宮川泰氏が作・編曲した『さらば』楽曲を中心に、宮川彬良氏が楽譜を耳コピで改めて書き起こし、新録音された。その楽曲収録についても『ヤマト2199』と同様にオーケストラによる同時録音である。本盤は『ヤマト2202』の為に新録音されたオリジナル楽曲と、新たに宮川彬良氏が作・編曲した新曲から成る全26曲という豪華なラインナップだ。また宮川彬良氏は「自分の中では創り切ったわけではない…ヤマトの音楽は、誰にも任せられない『ヤマト2202』を見届ける立場である」と音楽担当を引き受けた理由をコメントしており、『ヤマト2202』に対しての意気込みが感じられる。
本盤に収録されている楽曲は『ヤマト2202』第一章「嚆矢篇」から第四章「天命篇」まで使用された25曲と、本盤の為に作られた楽曲が1曲収録されている。『さらば』・『ヤマト2』で使用されたヤマトのテーマや白色彗星のテーマ、テレサのテーマを中心とした再録曲21曲と、宮川彬良氏が『ヤマト2202』の為に作・編曲した新曲が5曲といった内容だ。マスタリングは『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』・『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』(以下、『星巡る方舟』)のオリジナル・サウンドトラックをはじめ、数多くのヤマト音盤を手掛けている日本コロムビアの山下由美子氏が担当されており、特にヤマト音楽ファンには馴染みのある音に仕上がっていると思う。
『ヤマト2202』音楽の特長は『ヤマト2199』音楽と同様に、オリジナル作品『さらば』で宮川泰氏が作・編曲した“オリジナル音楽の再録”と“オリジナルにはない新しい音楽”の2つ。“オリジナル音楽の再録”において『ヤマト2199』ではオリジナル楽曲を忠実に再現する再演であったが、『ヤマト2202』に関しては宮川彬良氏のアレンジの妙(たえ)を生かし、宮川彬良氏のアレンジ個性が光る再演となっており、聴きどころのひとつである。新曲の使用は第一章「嚆矢篇」(第1、2話)で1曲、第二章「発進篇」(第3~6話)は1曲、第三章「純愛篇」(第7~10話)では2曲と少ないが、『ヤマト2202』オリジナルストーリー展開を今までのヤマト作品と同様に音楽で印象付けているシーンが多い。
アルバムは、本盤の為に作られた新曲「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」(Tr.01)からはじまる。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集』〈COCX-37385〉の「序曲」では収録曲のダイジェストを兼ねたメドレーだったが、「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」(Tr.01)は“ヤマトのテーマ”・“孤高のデスラー”・“真赤なスカーフ”の『ヤマト2199』で使われたメロディーで構成されており、『ヤマト2199』を音楽で振り返える楽曲になっている。
さて、以降の“オリジナル音楽の再録”から印象深い曲を各章ごとに紹介していこう。
まずは第一章「嚆矢篇」(第1、2話)より2曲。「懸命なヤマト」(Tr.08)は第1話冒頭で劣勢を強いられているガトランティス艦隊との戦闘シーンで使用されており、「夕日にのぞむヤマト」(Tr.09)はアンドロメダの拡散波動砲発射後、波動砲を封印するという沖田艦長とスターシャの約束の言葉が古代の脳裏に浮かぶシーンで使用され、ともに古代の複雑な胸中を表現している。
次に第二章「発進篇」(第3~6話)より2曲。勇ましく、そして優雅にアレンジされた「ヤマトに敬礼」(Tr.11)は、第5話でヤマト発進後、ヤマトに追いついた加藤三郎が第一艦橋を俯瞰しながら「翼、これがヤマトだ…お前にもみせてやりたい」と心で語るシーンで使用されていた。また「ただよう緊迫感」(Tr.16)は、古代が密航した森雪をヤマト艦内で発見するシーンで使用され、『さらば』でも同シーンで使用されている。
続いて第三章「純愛篇」(第7~10話)から1曲。第9話でズォーダー大帝が突きつける悪魔の選択のシーンにて、印象的であった雪の「選ばせない!」のセリフからフル使用された「別れの挙手」(Tr.23)は、別れの悲しさを表現されている『さらば』における名曲のひとつである「大いなる愛」のバリエーション曲である。
そして第四章「天命篇」(第11~14話)から1曲。「沖田の銅像と古代」(Tr.12)は第13話で、波動砲使用の決断を迫られる苦悩する古代の心情を表現している。
ここで“オリジナルにはない新しい音楽”、云わば新曲を紹介しよう。
第5話でヤマト発進の報せを聞き、真琴が決断を迷う加藤三郎が息子の翼を看病しているシーンで使用されている「翼~消えゆく命~」(Tr.07)や「翼~消えゆく命~ピアノソロ」(Tr.21)は、加藤三郎の家族愛を表現したテーマ曲とも言える。第8、9話と続けてズォーダーと対峙する古代のシーンに二度に渡って流れた「滅びの方舟」(Tr.22)は、Yucca氏による幻想的なコーラスがこれまでのガトランティスになかった闇の部分を表現している。また、オリジナル『さらば』・『ヤマト2』よりも深く描かれているズォーダー大帝のテーマとして「大帝ズォーダー」(Tr.24)が加わっており、第9話で古代に選択を迫るズォーダーのシーンのほか、第12話でのズォーダーとサーベラーが、ズォーダー大帝に愛を語るシーンにも使用されている。
本盤の未収録曲として主に、第4話でのヤマト発進シークエンスで使用されている「誕生」や、第13話でヤマトがテレザート星にワープアウトしたシーン、「全員で撃つ!全員で背負う!」と波動砲を使用したシーンで使用されている新曲、第14話にはテレザート星での斉藤始とザバイバル将軍の戦いにて「大帝ズォーダー」(Tr.24)のアレンジ曲が使用されているが、残念ながら未収録となっている。
2017年10月14日公開『ヤマト2202』第三章「純愛篇」のパンフレットにて本盤の発売予定日と価格が告知され、その2日後に「ヤマトクルー」のホームページにて“待望の宇宙戦艦ヤマト2202オリジナル・サウンドトラック第1弾1月24日発売!!”と本盤の発売日・価格、Ultimte Quality CD仕様での発売を発表。翌年公開『ヤマト2202』第四章「天命篇」のパンフレットでは、収録楽曲・品番が掲載された。また、CD発売同日の2018年1月24日からmore他、iTunes、レコチョクにてデジタル配信され、同時にe-onkyo等では初となるハイレゾ配信が行われた。
因みに『ヤマト2202』第三章「純愛篇」のパンフレットでは『宇宙戦艦ヤマト2202オリジナル・サウンドトラックCD Part.1』と表記されていた。
本盤収録「接近」(Tr.26)は、2016年12月6日に新宿ピカデリーにて開催された『ヤマト2202』第一章「嚆矢篇」公開前のイベント上映「たっぷり7週ヤマトーク2199~road to 2202~」の1週目において初めて披露された『ヤマト2202』の楽曲である。トークイベント内では2017年10月20日から録音が開始され、バージョン違いを含め既に約85曲レコーディングしている事が、宮川彬良氏・吉江プロデューサーからコメントされた。
第5話でヤマト発進の報せを聞き、真琴が決断を迷う加藤三郎の背中を押すシーンの楽曲使用等に見られるように、羽原信義監督はヤマトシリーズを音楽作品として捉えられており、楽曲に合わせて映像を調整している程“音楽”を重視されている。『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)の楽曲が基礎であるならば、応用編となった『さらば』の楽曲たちの「音楽の空白地帯を埋める」という宮川彬良氏のコメントは、まさに本盤を聴けばそれが解る事だろう。
『ヤマト2202』で初めてヤマトを観て、サントラを手にされた方は主に戦闘シーンで使用されているアップテンポの楽曲が収録されていない事に落胆された方もいると思うが、既に『星巡る方舟』のオリジナル・サウンドトラックで収録されている楽曲が多い。本盤は『ヤマト2202』で新たに収録された楽曲のみとなっているで、併せて『星巡る方舟』のオリジナル・サウンドトラックをはじめ、原曲が収録されている『YAMATO SOUND ALMANAC』シリーズの「1978-Ⅱ さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 音楽集」〈COCX-37385〉・「1978-Ⅲ さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち BGM集」〈COCX-37386〉・「1978-Ⅴ 宇宙戦艦ヤマト2 BGM集 Part1」〈COCX-37388〉・「1978-Ⅵ 宇宙戦艦ヤマト2 BGM集 Part2」〈COCX-37389〉を手に取って、ヤマト音楽を楽しんで頂きたい。
○EX解説
本盤は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)音楽の入門盤として、もってこいの1枚であるが、正直なところ後に発売される『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち オリジナル・サウンドトラック vol.02』〈LACA-9667~8〉(以下、『「ヤマト2202」サントラ2』)と併せて欲しい夫婦(めおと)的な盤だ。
本盤の帯には「第一章~第四章の劇伴を収録!」と謳い文句があるが、事実として『ヤマト2202』の新曲が印象的かつ初使用された第四章の音楽が収録されていない。この点が大いに夫婦盤と言えるだろう。しかし、これには本盤を製作時の背後要因によって収録されなかった事が後に判る(製作中につき、第四章の前半までしか使用楽曲が分からなかった)のだが、それでも喉から手が出るほど聴きたかった曲が収録されないモヤモヤ感は否めなかった。
ここまで書くと、本盤の魅力が薄い印象を受けるがそうでもない。「白色彗星メインテーマ」(Tr.02)や「アンドロメダ」(Tr.03)、「テレサのテーマ」(Tr.10)、「滅びの方舟」(Tr.22)、「大帝ズォーダー」(Tr.24)、「翼~消えゆく命~」(Tr.07)等といった『ヤマト2202』の重要的音楽が本盤に収録されているばかりでなく、本盤の為に作ったとされる『ヤマト2202』の為の序曲である「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」(Tr.01)は非常に筆舌しがたい素晴らしい1曲だ。
ヤマト音楽ファンには、是非本盤の収録曲順について着目してほしい。Tr.01~Tr.06の流れはニヤリとさせられるものがないだろうか?
個人的に最後が「接近」(Tr.26)で終わる構成は、本編と似たような次から次へと迫り来る敵(=先行き不透明な暗闇感)を現わしているかのようで、次アルバム『「ヤマト2202」サントラ2』への期待が高まって面白いと思った次第である。(しかし、1年以上の年月は非常に長かった・・・)
さて、ブックレット(解説書)にも注目してほしい。「ヤマト音楽対談」と題して、音楽を担当された宮川彬良氏と監督の羽原信義氏との対談解説が載っている。
今回の重要的な1曲である「大帝ズォーダー」(Tr.24)はどのようにして誕生したのか?作曲はどのような流れで、想いでされているのか?「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」(Tr.01)が作られたきっかけは?等―
ブックレットや当ページの解説を読んで、聴いていただければより面白く、より深く楽しむ事が出来ると思うので併せて読んでいただきたい。
最後に、本アルバムについて『宇宙戦艦ヤマト2199』からヤマトを知ったという、せぶんさんより購入早々に感想をいただいたので以下にご紹介したい。(原文ママ)
こんにちは。せぶんと申します。『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の制作発表を機に『宇宙戦艦ヤマト2199』の音楽や効果音にどハマりし、現在に至る者です。オリジナル版のヤマトはどれも何も見たことがありません。いくつかピックアップしながら感想を語っていけたらと思います。
トラック1から激アツですね!「新序曲」!!「新」ってなんだ?な状態から聞き始めましたが、これは…すごい。本当にオーケストラ曲にありがちな「序曲○○」みたい…!!そりゃそうか序曲だもんな。この重々しくも明日へ希望がある感じ、これ「わたしのそうぞうしたかっこいいヤマト」じゃん…と思いながら聞き進めていくと途中から管楽器にもかっこいい出番!!この金管楽器ずるい?!!真っ赤なスカーフやん?!!ありがとうございますトロンボーン!!!と、MAXハイテンションのままトラック2「白色彗星メインテーマ」へ。
勝てない。初めて聞いた時の感想です。これに尽きると思います。未だにこれを聞くと死んだなって思います。一回生で聴きたいなー!!2199の時のガミラス国歌のように、これがガトランティスのテーマになるのかな。
トラック3の「アンドロメダ」個人的にめっちゃくちゃ好きです。ここまで明るいマーチをヤマトで聞くことになるとは…!!好き!!弦と管の和音や絡みが憎い…いい仕事しすぎ…ありがとうございます…いくらか包ませてください…。この曲は宇宙のような濃紺ではなく青空の下で聞きたいです。
続きまして個人的に兄弟みたいな曲だなと思っているものを。「想人の記憶(スキャット)」と「別れの挙手」って脳内で広がる情景が似ている気がして、とても泣けます。弦楽器が歌っている曲は泣けます。ただ「別れの挙手」は途中でヤマトのテーマが入るのめっちゃずるいと思います。あと「滅びの方舟」と「大帝ズォーダー」。民族系の音楽。この2曲のスルメ具合すごいなあと思いながら聞いています。噛めば噛むほどおいしいです。
終盤に「序曲」が入ってるのも有難いです!かっこいい。めっちゃかっこいい。ヤマトってかっこいい。と5歳児のような感想を持ちました。その後に「接近」がくるのは本当にやめてほしいです。勝てないって言ったじゃん!!!
サントラを一周して感じたことなのですが、曲順が憎いです。ヤマトいいぞ、ヤマトいいぞな曲が続いた瞬間にズドーンとガトランティスの重々しい勝てない曲が入ってきたり、または急転直下よろしくいかにも危機です、のような曲が入ってきてまったく飽きないです。ヤマトクルーもこんな気分だったのかなとワクワクしました。
長々と語りましたが、とにかくめっちゃくちゃずるくてかっこいいのでぜひ、聴いてみてください。
○メディア/発売日/型番
CD 2018年01月24日(LACA-15686)
配信 2018年01月24日(LACA-15686)
配信 2018年01月24日(LACA-15686) ※ハイレゾ
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲 | 06′06″ |
02 | 白色彗星メインテーマ | 05′11″ |
03 | アンドロメダ | 02′04″ |
04 | 英雄の丘 | 00′53″ |
05 | コスモウェーブ | 01′12″ |
06 | 想人の記憶(スキャット) | 02′17″ |
07 | 翼~消えゆく命~ | 01′55″ |
08 | 懸命なヤマト | 01′08″ |
09 | 夕日にのぞむヤマト | 00′58″ |
10 | テレサのテーマ | 02′18″ |
11 | ヤマトに敬礼 | 01′00″ |
12 | 沖田の銅像と古代 | 02′06″ |
13 | 大いなる愛(Obe&Fl) | 01′04″ |
14 | 白色彗星テーマ(バリエーション1) | 01′49″ |
15 | 不安なヤマト | 00′52″ |
16 | ただよう緊迫感 | 00′52″ |
17 | 白色彗星テーマ(ブラス) | 00′45″ |
18 | 迫りくる星 | 00′47″ |
19 | 沖田の記憶 | 01′20″ |
20 | 明日への希望 | 01′00″ |
21 | 翼~消えゆく命~ピアノソロ | 01′53″ |
22 | 滅びの方舟 | 01′59″ |
23 | 別れの挙手 | 02′16″ |
24 | 大帝ズォーダー | 02′42″ |
25 | 序曲/【序曲≪(2202 Version)≫】 | 05′35″ |
26 | 接近 | 01′15″ |
(Total: 51′17")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
○概況と解説
本盤は『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば』)・『宇宙戦艦ヤマト2』(以下、『ヤマト2』)のリメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)のヤマト音楽ファン待望のオリジナル・サウンドトラック第2弾で、『ヤマト2202』最終章「新星篇」イベント上映の公開翌日、2019年3月2日に2枚組サウンドトラックCDとして発売された。 サウンドトラックCDとしては『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち オリジナル・サウンドトラック vol.01』〈LACA-15686〉(以下、『「ヤマト2202」サントラ1』)に次ぐアルバムだ。同日には『「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」主題歌集』〈LACA-15777〉も発売となった。
本盤は『ヤマト2202』の最後を飾るに相応しい全71曲という豪華なラインナップとなっている他、オリジナル『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを含め、初の2枚組サウンドトラックリリースである!
帯タイトルの“新録音バージョンなどを収録したDISC2を含む全71曲を完全盤!”の文字通り、DISC-1の収録楽曲は『「ヤマト2202」サントラ1』に未収録であった楽曲を含む、『ヤマト2202』第五章「煉獄篇」から最終章「新星篇」までの使用楽曲27曲と、本編未使用曲3曲の全30曲が収録されている。宮川彬良氏が『ヤマト2202』の為に、新たに作・編曲した楽曲が15曲と『さらば』・『ヤマト2』で使用された楽曲を中心とした再録曲14曲、『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『ヤマト2199』)の新録音1曲という内訳になっている。そして、DISC-2ではボーナストラックとして『ヤマト2199』でも使用された楽曲の再録曲を中心に全41曲収録されている。マスタリングは『「ヤマト2202」サントラ1』に引き続き、山下由美子氏が担当。
DISC-1は、本編未使用曲である新曲「静かなる「銀河」の胎動 」(Tr.01)からはじまり、ほぼ本編使用曲順になっている。新曲を中心に取り上げると、『「ヤマト2202」サントラ1』に収録の「大帝ズォーダー」のアレンジ曲である「進撃」(Tr.06)は第14話のテレザート地上戦で使われた。第13話のゴーランド艦隊へ波動砲問題を抱えたヤマトクルー全員が「全員で撃つ!」という重要なシーンをボレロ風の楽曲「ドッグ・ファイト」(Tr.09)、突撃隊がテレザートへワープアウトするシーンや第18話での土星沖海戦で山南艦隊が到着するシーン等にも使用された「運命の時」(Tr.13)等、『「ヤマト2202」サントラ1』未収録曲は多くのヤマト音楽ファンが待ち望んでいた楽曲であろう。また、「翼~苦悩と哀しみ~」(Tr.17)は第18話での加藤の悲痛な選択を描いたシーンで使用されており、第19話より登場した波動波動実験艦「銀河」のテーマ曲「「銀河」メインテーマ~飛翔~」(Tr.18)は「銀河」の初登場シーンとコスモリバース発動シーンに分けて使用されている。
筆者の印象深い新曲である「果てしなき戦い」(Tr.22)と「暁のヤマト」(Tr.23)の2曲は、第21話で土方艦長が「死んで取れる責任などないぞ」と自分の命と引き換えにヤマトを救出しようとする山南艦長を諭すシーン、沈みゆくアンドロメダ改から山南艦長が生還するシーンで続けて使用されている。「暁のヤマト」(Tr.23)は新メロディーではないが、『ヤマト2202』での数少ない主題歌「宇宙戦艦ヤマト」のメロディーを使用したアレンジ曲である。そして「死と祈り」(Tr.27)は、第24話で艦内の凄まじい惨状の中、森雪がテレサに問いかけるモノローグのバックに流れたレクイエムのような楽曲である。最終話で真田の演説のバックに使われ、『宇宙戦艦ヤマト 星巡る方舟』(以下、『星巡る方舟』)の主題歌のインストゥルメンタルアレンジである「Great Harmony BGM」(Tr.30)は、『ヤマト2199』と『ヤマト2202』の繋がりを印象付けられた。
『ヤマト2202』の新曲は「暁のヤマト」(Tr.23)を除き、いずれもオリジナル楽曲にはないモチーフとなっており、本盤ではそんな『ヤマト2202』の新曲を余すところなく収録している。
2018年12月27日に「ヤマトクルー」のホームページにて、“「宇宙戦艦ヤマト2202」主題歌集&オリジナル・サウンドトラック vol.02発売決定!”の告知と第五章「煉獄篇」~第七章「新星篇」のBGMをメインに収録予定と発表。同日、ランティスのホームページにて、発売日・価格、2枚組での発売と発表された。2019年3月1日公開の第七章「新星篇」パンフレットには、同日発売の主題歌集の発売告知と併せて、価格・Ultimte Quality CD仕様での発売という情報を掲載されていたが、収録楽曲までは掲載されていなかった。収録楽曲については発売をもっての発表という異例なものとなった。
CD発売同日の2019年3月2日からmore他、iTunes、レコチョクにてデジタル配信され、同時にe-onkyo等ではハイレゾ配信が行われた。尚、2019年3月1日の第七章「新星篇」公開初日には新宿ピカデリーにて劇場先行販売がされていた(他の劇場で販売されていたかは、未確認である)。
本盤における余談を幾つか。「運命の時」(Tr.13)は宮川彬良氏がオーダーもなく、自ら作曲した楽曲である。また「果てしなき戦い」(Tr.22)は、第21話にてアルバム収録とは異なるチェンバロがカットされた別バージョンが使用されている。「終曲」(Tr.29)は「大いなる愛」の新たなバリエーション曲で、羽原信義氏(監督)と福井晴敏氏(シリーズ構成)は第七章「新星篇」のラストシーンに使用することを考えていたが、吉田知弘氏(音響監督)は第25話のテレサと共に往くヤマトの描写に「終曲」(Tr.29)、最終話のラストシーンに「愛のテーマ」(Tr.24)を選曲したことを、2019年3月10日大阪ステーションシティシネマでの第七章「新星篇」舞台挨拶にて羽原信義氏がコメントしている。そのため「愛のテーマ」(Tr.24)と「終曲」(Tr.29)の曲順が逆転していると思われる。
アルバムジャケットは“波動実験艦「銀河」”と“ヤマト”のリバーシブルジャケットとなっており、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのオリジナル・サウンドトラック盤初の仕様となっている。このジャケットに対して、羽原信義氏は「ヤマト・銀河の“正面”シリーズ」と嬉しそうにコメントされていた。
筆者は都内の『ヤマト2202』イベント上映全章の舞台挨拶・愛のヤマトークに足を運ぶことが出来た。その中で音楽関係のコメントで印象的だったのは、羽原信義氏と福井晴敏氏は『宇宙戦艦ヤマト』シリーズを音楽作品として捉えられており、“この楽曲があるからこのシーンが成立する”等ヤマト作品での“音楽”の位置付けを重要視されていることが分かるコメントをほぼ全章でしており、オリジナル『宇宙戦艦ヤマト』シリーズから続く“ヤマトらしい”作品作りは、『ヤマト2202』でも損なわれていない事を確認できた。また、前作『ヤマト2199』では“ガミラスのテーマ”のバリエーションが増えたのと同様に『ヤマト2202』では、新たに作曲された“加藤三郎の家族”のテーマ曲や、オリジナル『さらば』・『ヤマト2』よりも深く描かれている“ズォーダー大帝”、“サーベラー”のテーマ曲や第六章「回生篇」で登場したヤマト型三番艦“銀河”のテーマ曲等、新曲が幾つも誕生しており、その各テーマモチーフを使用した数々のアレンジ曲が作曲されているのも、オリジナル『宇宙戦艦ヤマト』シリーズからの楽曲の作り方が踏襲されている。『ヤマト2202』では“オリジナルにはない新しい音楽”の括りに『ヤマト2199』で誕生した新曲も加わって、音楽の厚みを増しており、更には宮川彬良氏により『宇宙戦艦ヤマト』・『さらば』音楽の空白地帯を埋められ、ヤマト音楽の素晴らしさを再認識させられる作品であった。
本盤のブックレットで吉田和弘氏が触れられているように、『ヤマト2202』のBGM構成は『星巡る方舟』のBGMに追加する形になっている。この機会に是非『星巡る方舟』のオリジナル・サウンドトラックも手に取って頂き、『ヤマト2202』の世界を音楽でも楽しんで頂きたい。
最後に、2019年5月5日クローバーラジオにて『クローバーラジオ特別番組「ラジオ・スイート さらば宇宙戦艦ヤマト」』と題して4時間に渡るヤマト音楽番組が放送された。番組内では、羽原信義氏と宮川彬良氏による『ヤマト2202』の各章毎に詳細な楽曲解説をされていたので、聴き逃した方は機会があったら是非聴いて頂きたい番組である。
○EX解説
本盤は、前アルバム『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち オリジナル・サウンドトラック vol.01』〈LACA-15686〉(以下、『「ヤマト2202」サントラ1』)の夫婦(めおと)的な盤であり、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)音楽の総体性盤でもあろう。先述の通り、夫婦盤である為『「ヤマト2202」サントラ1』を無くしては、『ヤマト2202』音楽の総集編にはならないので併せてほしいところだ。
本盤の魅力は、何と言っても収録曲の多さと錚々たる新曲の数々だ!
これまでの『宇宙戦艦ヤマト』シリーズにおいて、リアルタイムで発売されたオリジナル・サウンドトラックとして2枚組というのは本盤が初である。一切の重複がないというのも、『「ヤマト2202」サントラ1』の夫婦盤という名にふさわしい。溜飲が下がったファンも多い事だろう。
さて痒いところに手が届いた感のある本盤だが、『ヤマト2202』音楽の全容が判る側面もある。それは一つに、DISC-2にある多くの“新録音”ではないだろうか?『宇宙戦艦ヤマト』(1974年)、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(1978年)のオリジナル曲がずらりと並んでいて、更にはリメイク作品である『宇宙戦艦ヤマト2199』(2012年)に至るまでの音楽が勢ぞろいしている。この曲順についても、順番(音楽ナンバー)に収録したという関係者からの証言があって、興味深いものがあるのではないだろうか?そういった部分を含めて、聴いてみると面白いと思う。
本盤によって溜飲が下がり、あまり気にされない事と思うが、実は未収録曲(トラックダウン違いを除く)がある。
第21話「悪夢からの脱出!!」のヤマトがアンドロメダのロケットアンカーによって牽引され、白色彗星から脱出するシーンの曲(M-11)。第25話「悪夢からの脱出!!」での滅びの方舟が再起動した時に流れた曲(M-06)は未収録となっている。
また『ヤマト2202』においてはトラックダウン違いで非常に印象的な音楽(第21話でのアンドロメダと銀河の共同作戦で流れた「果てしなき戦い」から主にチェンバロをCutしたもの等)も多く存在したのも事実であり、CD化を望むファンの声を一部からは聞く。
前作『宇宙戦艦ヤマト2199』においても、未収録曲やトラックダウン違い音源が多くあるので、新たなCD化が望まれるところである。
ブックレット(解説書)の奏者リストにおいて“宮川知子”“宮川大典”の名があるが、実は宮川彬良氏のご息女・ご子息である。宮川知子氏は「果てしなき戦い」(Tr.22)のチェンバロを、宮川大典氏は「Great Harmony BGM」(Tr.30)のピアノを担当された。(何れもDISC-1に収録)
宮川泰氏から始まったヤマト音楽が、新たにひとつ、ここで紡がれたのである!
『ヤマト2202』音楽は、前作『宇宙戦艦ヤマト2199』をも含めたヤマト音楽の集大成である事が、本盤を通じて判っていただけるのではないだろうか?ブックレットにある音響監督の吉田知弘氏による『ヤマト2202』劇伴についての解説も『ヤマト2202』音楽を知る上で重要となるので、是非とも併せて読んでいただきたい。
ヤマト音楽の未来への“胎動”と“果てしなき戦い”が本盤から奏でられていくだろう―
○メディア/発売日/型番
CD 2019年03月02日(LACA-9667~8)
配信 2019年03月02日(LACA-9667~8)
配信 2019年03月02日(LACA-9667~8) ※ハイレゾ
【DISC-1】
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 静かなる「銀河」の胎動 | 01′57″ |
02 | 誕生/【誕生≪(2202 Version)≫】 | 04′20″ |
03 | 運命のデスラー | 01′38″ |
04 | デスラーの野望 | 01′21″ |
05 | 孤高のデスラー(新録音) | 02′16″ |
06 | 進撃 | 03′59″ |
07 | テレサとの邂逅 | 01′21″ |
08 | デスラーの死 | 01′55″ |
09 | ドッグ・ファイト | 03′14″ |
10 | シファル・サーベラー | 01′25″ |
11 | 再会の喜び | 01′34″ |
12 | 出現 | 01′52″ |
13 | 運命の時 | 02′37″ |
14 | 翼~苦悩と悲しみ~ピアノソロ | 01′51″ |
15 | 白色彗星のテーマ(高音+低音) | 01′10″ |
16 | 白色彗星出現 | 00′47″ |
17 | 翼~苦悩と悲しみ~ | 01′54″ |
18 | 「銀河」メインテーマ~飛翔~ | 02′28″ |
19 | 大いなる愛(別れ) | 00′49″ |
20 | 沖田と古代/【沖田と古代≪(2202 Version)≫】 | 02′36″ |
21 | 滅びの方舟(ハミング) | 01′58″ |
22 | 果てしなき戦い | 02′34″ |
23 | 暁のヤマト | 01′59″ |
24 | 愛のテーマ | 01′54″ |
25 | 悲しみのテーマ | 02′17″ |
26 | ヤマト交響詩 | 02′27″ |
27 | 死と祈り | 03′00″ |
28 | 大いなる愛(パイプオルガン) | 01′23″ |
29 | 終曲 | 02′14″ |
30 | Great Harmony BGM | 03′29″ |
(Total: 64′19")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
【DISC-2】
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 美しい大海を渡る(新録音) | 02′49″ |
02 | 宇宙の静寂(新録音) | 01′22″ |
03 | 星が見えた(新録音) | 00′29″ |
04 | 誰もいない街(新録音) | 00′44″ |
05 | ヤマトのボレロ(新録音) | 01′01″ |
06 | 地球を飛び立つヤマト(新録音) | 02′32″ |
07 | 哀しみのヤマト(新録音) | 02′16″ |
08 | 哀しみのBG(新録音) | 01′55″ |
09 | 絶体絶命(新録音) | 00′51″ |
10 | 悲愴なヤマト(新録音) | 01′43″ |
11 | デスラー登場(新録音) | 02′20″ |
12 | 敵宇宙船の攻撃(新録音) | 01′04″ |
13 | 探索機発進(新録音) | 01′06″ |
14 | ワープ(新録音) | 00′48″ |
15 | 悲しみ(沖田の死)(新録音) | 01′37″ |
16 | 英雄の丘(ブラスのみ) | 00′52″ |
17 | 廃墟 | 00′21″ |
18 | ピンチヤマト | 00′34″ |
19 | 白色彗星のミステリー | 00′33″ |
20 | 不穏なBG | 00′19″ |
21 | ヤマト ブリッジ | 00′15″ |
22 | さわやかな緊迫感 | 00′52″ |
23 | 荒廃 ブリッジ | 00′25″ |
24 | 死のブリッジ | 00′35″ |
25 | 暗闇のサスペンス | 00′34″ |
26 | 小気味よい戦い(新録音)/【小気味よい戦い】 | 01′16″ |
27 | ヤマト重々しく出航 | 00′50″ |
28 | 悲涙 | 01′16″ |
29 | 雷のような音 | 00′31″ |
30 | 白色彗星テーマ(バリエーション2) | 00′52″ |
31 | 白色彗星テーマ(重低音) | 00′59″ |
32 | ガミラス国歌 BGM(新録音) | 01′50″ |
33 | 心理サスペンスBG(新録音) | 00′41″ |
34 | 膠着する戦闘(新録音) | 01′19″ |
35 | ガミラス独裁者の苦悩(新録音) | 01′47″ |
36 | 真赤なスカーフBG(新録音) | 01′05″ |
37 | デスラー襲撃(新録音) | 02′24″ |
38 | ヤマト Uボート風(新録音) | 01′11″ |
39 | 大帝ズォーダー(ピアノ) | 02′12″ |
40 | 碧水晶(新録音) | 02′02″ |
41 | Great Harmony BGM(小) | 02′00″ |
(Total: 50′12")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
主題歌/挿入歌類
○概況と解説
2017年10月11日にランティスより発売されたテレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の主題歌シングルCDである。
本盤に収録されているのは、オープニング主題曲と第二章(第3~6話)エンディング主題歌。
・「『宇宙戦艦ヤマト2202』メインテーマ」(作曲 - 宮川泰 / 編曲 - 宮川彬良 / 演奏 - オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ)
・「月の鏡」(作曲・作詞 - S.E.N.S. Project / 歌 - テレサ(神田沙也加))
上記2曲とカラオケ音源が収められている。
後に「『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』主題歌集(TS-41)」にてこれらの曲(カラオケ音源を除く)がまとめられた。
○メディア/発売日/型番
CD 2017年10月11日(LACM-14665)
配信 2017年10月11日(LACM-14665)
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 月の鏡/【月の鏡≪(神田沙也加)≫】 | 04′54″ |
02 | 『宇宙戦艦ヤマト2202』メインテーマ/【「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ】 | 02′08″ |
03 | 月の鏡(Instrumental) | 04′54″ |
(Total:11′56")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
○概況と解説
2018年1月24日にランティスより発売されたテレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の主題歌シングルCDである。
本盤に収録されているのは、第三章(第7~10話)エンディング主題歌と第四章(第11~14話)エンディング主題歌、そしてオープニング主題歌。
・「君、ヒトヒラ」(作曲 - カワノミチオ / 作詞 - 有馬詩乃 / 歌 - ありましの)
・「CRIMSON RED」(作曲・作詞 - S.E.N.S. Project / 歌 - 星野裕矢)
・「宇宙戦艦ヤマト2202」(作曲 - 宮川泰 / 編曲 - 宮川彬良 / 作詞 - 阿久悠 / 歌 - ささきいさお)
上記3曲とカラオケ音源が収められている。
後に「『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』主題歌集(TS-41)」にてこれらの曲(カラオケ音源を除く)がまとめられた。
○メディア/発売日/型番
CD 2018年01月24日(LACM-14708)
配信 2018年01月24日(LACM-14708)
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 君、ヒトヒラ/【君、ヒトヒラ≪(ありましの)≫】 | 04′34″ |
02 | CRIMSON RED/【CRIMSON RED≪(星野裕矢)≫】 | 03′43″ |
03 | 宇宙戦艦ヤマト2202/【宇宙戦艦ヤマト2202≪(ささきいさお)≫】 | 02′11″ |
04 | 君、ヒトヒラ(Instrumental) | 04′34″ |
05 | CRIMSON RED(Instrumental) | 03′43″ |
06 | 宇宙戦艦ヤマト2202(Instrumental) | 02′11″ |
(Total:20′56")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
○概況と解説
2018年10月31日にランティスより発売されたテレビシリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の主題歌シングルCDである。
本盤に収録されているのは、第五章(第15~18話)エンディング主題歌と第六章(第19~22話)エンディング主題歌。
・「ようらんか」(作曲・作詞 - S.E.N.S. Project / 歌 - ありましの with MayTree)
・「大いなる和」(作曲・作詞 - S.E.N.S. Project / 歌 - 山寺宏一)
上記2曲とカラオケ音源が収められている。
後に「『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』主題歌集(TS-41)」にてこれらの曲(カラオケ音源を除く)がまとめられた。
○メディア/発売日/型番
CD 2018年10月31日(LACM-14810)
配信 2018年10月31日(LACM-14810)
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 大いなる和/【大いなる和≪(山寺宏一)≫】 | 05′24″ |
02 | ようらんか/【ようらんか≪(ありましの with MayTree)≫】 | 05′01″ |
03 | 大いなる和(Instrumental) | 05′24″ |
04 | ようらんか(Instrumental with MayTree) | 05′01″ |
(Total:20′50")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
○概況と解説
『「宇宙戦艦ヤマト2199」主題歌集』〈LACA-15443〉(以下、『「ヤマト2199」主題歌集』)に続く主題歌集である。『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)第七章「新星篇」の公開に併せ、発売された。
『「ヤマト2199」主題歌集』は複数のレコード会社が関与していた関係からか、収録楽曲には不十分な点があった。一方、本盤『「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」主題歌集』(以下、『「ヤマト2202」主題歌集』)においてはそのようなことがないため、ショートバージョン含め完全収録されている。既発のシングルを揃えずともこの一枚で『ヤマト2202』の歌曲群について網羅できるのはありがたいことである。
本盤に収録されている歌曲について総括的な解説をしてみたい。
『「ヤマト2202」主題歌集』については、“原点回帰”と“新しいことへの挑戦”の二つが交じり合っている感がある。これが意図したものか偶然かはわからないが、恐らくは西崎彰司・羽原信義両氏の意向が強いのではないだろうか。
“原点回帰”は「宇宙戦艦ヤマト2202」(Tr.07)、「ヤマトより愛をこめて」(Tr.19)の2曲が特に伺える点である。「宇宙戦艦ヤマト」の主題歌自体は『宇宙戦艦ヤマト2199』のときに既に新録されていたが、今作については羽原監督の意向により、より“原典”に近いアップテンポになっており、「ヤマトより愛をこめて」の使用と合わせ“原典”であるオリジナルヤマトシリーズに寄り添った感が強い。
その一方“新しいことへの挑戦”については、「月の鏡」(Tr.01)と「大いなる和」(Tr.05)が挙げられよう。両曲とも『ヤマト2202』本編に出演されている声優陣による歌曲であり、特に「月の鏡」については『ヤマト2202』のヤマトークにて小林治氏が言及されていたように、「ヤマトシリーズ初のキャラクターソング」という位置づけでもあるのだ。CDにおける歌の表記が「テレサ(CV.神田沙也加)」ということからもそれが伺える。
一方の「大いなる和」は、デスラー役の山寺宏一氏による歌だが、こちらは歌の表記は山寺宏一名義で、デスラー名義ではない。キャラソンという位置づけかは難しいところであるが、それでも本編出演声優が歌唱しているという点では注目すべきところがある。更にこの曲は『ヤマト2202』第七章「新星篇」公開時の舞台挨拶にて、山寺氏がその場で歌っている。ヤマトに限らずアニメ映画の舞台挨拶で出演声優がその場で歌うこと自体稀であり面白いことである。
この曲については、やはり舞台挨拶のトークにて、山寺氏から「『POWER』というアルバムにて「ヤマトより愛をこめて」のカバーを歌ったことがあり、その曲をスタッフが聴いて今回オファーが来た」という旨の話をされていた。ちなみにこの『POWER』(カナメイシレコード〈NQKS-1018〉)では「好敵手」を『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』に出演した置鮎龍太郎氏(島次郎役)が歌っているので、興味のある方は聴いてみるのもいいだろう。
他にも「好敵手」をリスペクトした「CRIMSON RED」(Tr.03)については“原典回帰”と“新挑戦”の中間形態的なものかもしれない。いずれにせよ、今回の主題歌集全般については、各レコード会社の思惑が強かった『「ヤマト2199」主題歌集』に比べ、よりヤマトらしい楽曲になったといえるだろう。
最後になったが、今回の主題歌集の製作意図をより詳しく知りたい方向けには「ヤマトクルー」から刊行されている「STAR BLAZERS ヤマトマガジン VOL.1」に楽曲をプロデュースされた「S.E.N.S. Project」の詳しいインタビューが掲載されているので一読をお勧めしたい。
○EX解説
本盤に収録されているヴァリエーションとその使用箇所について補足をする。
・“Short Size”はイベント上映に合わせて発売された毎章の映像ソフト(BD&DVD)で使用されているものである。
「月の鏡(Short Size)」(Tr.08)―(第3~6話 ED)
「君、ヒトヒラ(Short Size)」(Tr.09)―(第7~10話 ED)
「CRIMSON RED(Short Size)」(Tr.10)―(第11~14、23話 ED)
「ようらんか(Short Size)」(Tr.11)―(第15~18、24話 ED)
「大いなる和(Short Size)」(Tr.12)―(第19~22、25話 ED)
「「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ(Short Size)」(Tr.13)―(第2話 ED&第3~10話 OP)
「宇宙戦艦ヤマト2202(Short Size)」(Tr.14)―(第11~25話 OP)
・“TV Size”はテレビ放送で使用されているものである。
「月の鏡(TV Size)」(Tr.15)―(第1~5、16~18話 ED)
「君、ヒトヒラ(TV Size)」(Tr.16)―(第6~10話 ED)
「CRIMSON RED(TV Size)」(Tr.17)―(第11~15話 ED)
「 大いなる和(TV Size) 」(Tr.18)―(第19~25話 ED)
上記の中で特筆すべきものは「「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ(Short Size)」(Tr.13)と「宇宙戦艦ヤマト2202(Short Size)」(Tr.14)の2つ。
「「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ(Short Size)」(Tr.13)はYucca氏によるスキャットが入った、テレビサイズ用の別テイクという「「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ」(Tr.06)とは異なる単なる短編編集ではない点だ。次に「宇宙戦艦ヤマト2202(Short Size)」(Tr.14)については、これまでの宇宙戦艦ヤマトシリーズでは使用される事のなかった2番から始まるもので興味深いところがある。他にも“Short Size”や“TV Size”における編集箇所に耳を傾けてみるのも1つの楽しみ方だろう。
「ヤマトより愛をこめて」(Tr.19)の“Short Size”は収録がされていないが、これは他レコード会社の音源を収録したが故である。不完全さも否めないが、1枚にまとまった事を喜びたい。
○メディア/発売日/型番
CD 2019年03月02日(LACA-15777)
配信 2019年03月02日(LACA-15777) ※Incomplete Edition
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 月の鏡/【月の鏡≪(神田沙也加)≫】 | 04′54″ |
02 | 君、ヒトヒラ/【君、ヒトヒラ≪(ありましの)≫】 | 04′34″ |
03 | CRIMSON RED/【CRIMSON RED≪(星野裕矢)≫】 | 03′43″ |
04 | ようらんか/【ようらんか≪(ありましの with MayTree)≫】 | 05′01″ |
05 | 大いなる和/【大いなる和≪(山寺宏一)≫】 | 05′24″ |
06 | 「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ | 02′07″ |
07 | 宇宙戦艦ヤマト2202/【宇宙戦艦ヤマト2202≪(ささきいさお)≫】 | 02′10″ |
08 | 月の鏡(Short Size) | 02′01″ |
09 | 君、ヒトヒラ(Short Size) | 01′54″ |
10 | CRIMSON RED(Short Size) | 02′04″ |
11 | ようらんか(Short Size) | 02′32″ |
12 | 大いなる和(Short Size) | 02′45″ |
13 | 「宇宙戦艦ヤマト2202」メインテーマ(Short Size) | 01′32″ |
14 | 宇宙戦艦ヤマト2202(Short Size) | 01′26″ |
15 | 月の鏡(TV Size) | 01′47″ |
16 | 君、ヒトヒラ(TV Size) | 01′33″ |
17 | CRIMSON RED(TV Size) | 01′29″ |
18 | 大いなる和(TV Size) | 01′59″ |
19 | ヤマトより愛をこめて/【ヤマトより愛をこめて≪(沢田研二)≫】 | 04′28″ |
(Total:53′23")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
企画盤
○概況と解説
2019年10月14日にBunkamuraオーチャードホールにて『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)の音楽を手掛けてきた宮川彬良氏のアレンジ、指揮、演奏によるシリーズ初のコンサート『「宇宙戦艦ヤマト2202」コンサート2019 ソノ・トキ・キミ・ト-Close to you tonight-』(以下、『ヤマト2202コンサート2019』)が開催された。翌年2020年3月27日にこのコンサートの演奏が、Blu-rayとして発売された。
ヤマト関連の音盤としては、2019年4月17日に発売された『羽田健太郎:交響曲 宇宙戦艦ヤマト』〈COCQ-85460〉以来の音盤である。
本盤は『ヤマト2202コンサート2019』のコンサート映像を収録したBlu-rayと特典としてコンサート音源を収録したCDがセットで発売された。
本コンサートは、Blu-rayブックレットのイントロダクションに“宮川彬良氏とアーティストが集い、一夜かぎりの歌唱・演奏を披露する。ヤマトファンのために催された、類い希なるコンサートの全記録である”と記されているように、『宇宙戦艦ヤマト2199』で開催されたオーケストラ・吹奏楽の大編成の演奏とは趣の異なるサロン形式で開催され、この日のためだけの特別アレンジされたBGM、そしてエンディング主題歌アーティストによるコンサートである。
BGMの演奏には、宮川彬良ゆかりのミュージシャンたちが参加し、ギターに角田順、コントラバスに一本茂樹、パーカッションに川瀬正人、バイオリンに山本友重、チェロに溝口肇、そしてサックスには平原まことを迎えている。また、エンディング主題歌の歌唱は、山寺宏一・ありましの・星野裕矢・平原綾香が参加し、エンディング主題歌の演奏には『ヤマト2202』のエンディング主題歌を制作したS.E.N.S. Projectに参加する武沢侑昂(ギター)、有木竜郎(キーボード)、金森佳朗(ベース)が参加している。
コンサートの構成は、第三章エンディング主題歌「君、ヒトヒラ」から始まる4曲の“エンディング主題歌パート”と、後半は『ヤマト2202』でも重要なシーンのBGMとして使用された『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』のエンディング主題歌「Great Harmony ~for yamato2199」を含む“BGMアレンジパート”10曲の他、「Overture」と演奏者を含め観客まで揃っての会場一体による大合唱のラストナンバー「宇宙戦艦ヤマト2202」を含め、全17曲の演奏となっている。
楽曲演奏間には宮川彬良氏の軽快なМCや出演者とのトークを挟みながら進行し、本コンサートの司会を務めた中村繒里子氏のフルート演奏参加による「美しき音楽の大海を渡る」(Tr.16)、山寺宏一氏がコーラスを担当した「大いなる愛」(Tr.17)そして、宮川家・平原家の交流エピソードトークを交えた平原綾香氏による「Great Harmony ~for yamato2199」(Tr.14)ではサックス奏者平原まこととの親子共演しており、“今夜限り”に相応しいサロン形式の特長を生かしたコンサートの内容となっている。
映像収録されているBlu-rayはトークパートも含め、ほぼコンサートのすべての模様が収録されているが、CDではトークの部分はカットされ“エンディング主題歌パート”と“BGMアレンジパート”のみとなっており、「美しき音楽の大海を渡る」(Tr.16)と「大いなる愛」(Tr.17)がボーナストラックとして再構成されている。
2019年10月8日より、本盤の発売告知が開始され、同日より予約が始まった。
オリジナル特典としてバンダイナムコアーツ公式ショップA-on STOREでは、宮川彬良自筆複製スコア「白色彗星メインテーマ」(コンサートアレンジver)、宇宙戦艦ヤマト公式FCヤマトクルーでは、宮川彬良自筆複製スコア「ヤマト渦中へ」(コンサートアレンジver)、Amazon.co.jpでは線画3点セット(宇宙戦艦ヤマト/アンドロメダ/ノイ・デウスーラ)と店舗別で特典が異なった。
2020年1月13日にCS放送(ファミリー劇場)にて『「宇宙戦艦ヤマト2202」コンサート2019 ソノ・トキ・キミ・ト 先行特別版』として、コンサートの模様とコンサートメイキング映像を挟み、ダイジェストで放送された。また、2019年5月23日には同CS局で完全版が放送。
2020年2月3日には本盤の発売に先駆け、新宿ピカデリー(東京)・ミッドランドスクエアシネマ(名古屋)・なんばパークスシネマ(大阪)の3劇場での上映イベント『「ヤマト2202」コンサート2019 Blu-ray発売記念!愛のフィルムコンサート』が実施され、コンサート本編の上映が行われた。新宿ピカデリーでは、本編上映後に宮川彬良氏、中村繪里子氏、小林治(司会)そして、特別ゲストとして西﨑彰司氏登壇によるトークイベントが行われている。また3劇場の入場者プレゼントとして宮川彬良ポストカード(複製サイン入り)が無料配布された。
『ヤマト2202コンサート2019』の感想を、新宿ピカデリーのイベント上映で無料配布された宮川彬良ポストカードに書かれている宮川彬良氏のコメントに拝借してコメントすると「行って良かった!ソノ・トキ・キミ・ト」である。筆者は幸運にも『ヤマト2202コンサート2019』に足を運ぶことが出来た。オーケストラでもなく、吹奏楽でもない少人数編成でのコンサートに一抹の不安も感じたが、宮川彬良氏の楽曲アレンジの素晴らしさが光るコンサートであった。残念ながら、本コンサート前日まで過去最強クラスの台風19号が接近した影響で、本コンサートに足を運べなかった方も多くいたが、是非本盤でこのコンサートのために特別アレンジされたBGM、そしてエンディング主題歌アーティストの歌唱をゆっくりと今こそ楽しんでいただきたい。
終演間近に宮川彬良氏が「交響組曲を作ります!!」と宣言された『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』のコンサート開催を次回へ期待したい!
○EX解説
ここに解説
○メディア/発売日/型番
BD&CD 2020年03月27日(BCXE-1519)
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | Overture | 04′19″ |
02 | 君、ヒトヒラ | 04′51″ |
03 | ようらんか | 05′07″ |
04 | CRIMSON RED | 04′00″ |
05 | 大いなる和 | 05′47″ |
06 | 大志を抱いて | 04′35″ |
07 | 悪魔の横顔 | 02′54″ |
08 | テレサの愛 | 03′38″ |
09 | 白色彗星・旅人のテーマ | 05′27″ |
10 | 翼~いのち~ | 02′09″ |
11 | 開戦~デスラー襲撃~ | 02′30″ |
12 | 反撃~ヤマト渦中へ~ | 01′50″ |
13 | 明日へ~果てしなき戦い~ | 02′51″ |
14 | Great Harmony ~for yamato2199 | 05′26″ |
15 | 宇宙戦艦ヤマト2202 | 02′43″ |
16 | 美しき音楽の大海を渡る | 01′02″ |
17 | 大いなる愛 | 02′54″ |
(Total: 62′03")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
○概況と解説
2019年10月13日に開催された『「宇宙戦艦ヤマト2202」コンサート2019 ソノ・トキ・キミ・ト-Close to you tonight-』(以下、『「ヤマト2202」コンサート』)の終演間近に、宮川彬良氏が「交響組曲を作ります!!」と宣言されてから、約1年余り。ヤマト音楽ファン待望の“交響組曲”が『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』〈LACA-15855〉(以下、『交響組曲ヤマト2202』)というタイトルで2021年1月15日に発売された。
ヤマト関連の音盤は2020年3月27日に『「ヤマト2202」コンサート』の模様を収録したBlu-ray『「宇宙戦艦ヤマト2202」コンサート2019』〈BCXE-1519〉以来の音盤である。
本盤の発売同日には『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』のイベント上映公開初日の予定であったが、2019年12月ごろから、世界で感染拡大していたコロナウイルスが日本でも拡大しており、感染拡大抑制の為に発令された2回目の緊急事態宣言により、イベント上映は延期となった中での発売となった。
“宮川彬良氏によるヤマト・サウンド”の集大成と言える本盤は、アルバムタイトルにこそ“2202”とされているが、音楽構成は宮川彬良氏が手掛けた『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『ヤマト2199』)から『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)までの劇伴を“交響組曲”として、構成・スコアを新たに書き起こした内容となっており、「第一章」から「第七章」までのそれぞれの曲タイトルに沿った形でまとめられている。
これは1977年に発表された『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』(以下、『交響組曲ヤマト』)が、音楽で“宇宙戦艦ヤマトのイスカンダルへの往復29万6千光年の航海”を表現していたように、『交響組曲ヤマト2202』も“宇宙の平和を守るために白色彗星帝国と戦う宇宙戦艦ヤマトの航海”を音楽で見事に表現したアルバムだ。
選曲された楽曲は“交響組曲”を意識されたアレンジを施されており、『ヤマト2199』から『ヤマト2202』までのオリジナル・サウンドトラック盤を聴きなれているヤマトファンにとっては、“驚き”と良い意味で“裏切られる”ような編曲が多く、数多くの演劇・オペラ・ミュージカルなどを手掛けている宮川彬良氏の引き出しの多さと“個性”を十分に感じることのできるアルバムとなっている。
ブックレットには、ランティスの吉江輝成氏氏による各章の解説と、宮川彬良氏のインタビューが掲載されており、宮川彬良氏自身の『交響組曲ヤマト』に対しての熱い想いや『交響組曲ヤマト2202』を作曲するにあたっての意気込みを感じられるコメントが確認できる。収録にあたって、演奏も『ヤマト2199』からヤマト・サウンドを宮川彬良氏とともに作り上げてきたメンバーの名前が連ねており、宮川彬良氏が求めていた音作りを忠実に作り上げられていることは間違いなく、マスタリングについても日本コロムビアから発売されている数多くのヤマトサントラ盤のマスタリングを手掛けている山下由美子氏が担当しており、本盤が申し分のない布陣で制作されていることが分かる。以上のことから、本盤制作にあたっての宮川彬良氏の姿勢や演奏・制作メンバーをみても『交響組曲ヤマト2202』は、宮川彬良氏にとって代表作となる完成度の高いアルバムと言っても過言ではないだろう。
また『ヤマト2202』の劇伴収録から参加している宮川知子氏(宮川彬良氏のご息女)も参加されており、親子三代に渡ってヤマト・サウンドの世界を作り上げている。
アルバムジャケットは『交響組曲ヤマト』のジャケット画のオマージュとなっている他、CD盤面には宮川彬良氏と宮川泰氏の名前が並んでいるのも宮川彬良氏の「父親や西﨑(義展)さんたちに対する敬意…」というコメントとリンクするものが感じられ、感慨深いものがある。
2020年9月25日に宇宙戦艦ヤマトファンクラブサイトである「ヤマトクルー」にて、『交響組曲ヤマト2202』の発売告知があり、プレミアム会員特典として劇場販売用特典であるオリジナルA4スコアクリアファイル、またはメーカー特典であるキャラクターデザイン・結城信輝氏によるイラストミニ色紙の双方が選択できるように予約販売が開始され、2020年11月19日には『交響組曲ヤマト2202』の試聴PVが公開された。
CD発売同日の2021年1月15日からmore他、iTunes、レコチョクにてデジタル配信され、同時にe-onkyo等ではハイレゾ配信が行われた。
『交響組曲ヤマト』はオリジナル『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの音楽を手掛けた宮川彬良氏の父、宮川泰氏の手により作曲され、1977年に発売された。詳細については「交響組曲 宇宙戦艦ヤマト(SS-01)」の項で確認していただきたい。
2021年1月8日より、TOKYO MXにて毎週23時~23時30分の放送枠で『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』の上映を記念してディレクターを務めた佐藤敦紀氏が選んだ『ヤマト2199』と『ヤマト2202』TVシリーズのエピソードが放送され、『交響組曲ヤマト2202』のCMが流された。
本盤発売の前日である2021年1月14日には、ニッポン放送『オールナイトニッポンGOLD』で公開記念特番『「宇宙戦艦ヤマト」という時代』が放送された。番組では福井晴敏氏と宮川彬良氏が出演され、宮川彬良氏より本盤の聴きどころなどをコメントされていた。また、同日BS11の『アニゲー☆イレブン!』にも、宮川彬良氏がVTR出演され、同様にコメントをされている。
余談ではあるが、『「宇宙戦艦ヤマト」という時代 西暦2202年の選択』の公開延期に伴い、劇場販売用特典であったオリジナルA4クリアファイルは、バンダイナムコアーツ通販特典に変更となった。
本盤に少しでも興味のある方は、兎にも角にもまずはこのアルバムを手にしていただき、約50分間にわたる第一章~カーテンコールまでの“交響組曲”を一気に聴いていただきたい。「聴きどころは何章?」という質問は正直愚問である。というのも、このアルバム1枚すべてであり、第一章~カーテンコールまでで1曲とも言え、断片的には到底語れないものがある。ブックレットは聴いてから開くことを強くお薦めする。
宮川泰氏が世に送り出した『交響組曲ヤマト』の単なるコピーではなく、『宇宙戦艦ヤマト2199』から始まったオリジナル『宇宙戦艦ヤマト』シリーズのリメイクで新たな『宇宙戦艦ヤマト』という作品の世界観が拡がったように、宮川彬良氏の手により新たに拡がったヤマト・サウンドの世界をこの『交響組曲ヤマト2202』で体験・追憶できること間違いない!
○EX解説
本盤は『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『ヤマト2202』)を音楽で描いた一大音楽ストーリーである。
第一章~第七章とタイトルが記載されているが、必ずしも本編に沿ったものでもなく、逆に本編に全く沿っていないわけでもない。
これは、宮川彬良氏が『ヤマト2202』で感じたものを“音楽”で、“交響組曲”という形で綴ったものである。従って『ヤマト2202』を知らないと分からないものでもなく、音楽を通じて新たに描かれた『ヤマト2202』の物語が第一章から展開されていくもので、通じて聴いてみることで初めて、この『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』を知ることが出来る。また一方で、ヤマト音楽ファンにはいい意味で裏切られる内容となっている事も書き添えておきたい。どういう事なのかはぜひ実際に聴いて確かめていただき、この“交響組曲”を楽しんでいただければと思う。
ここでは詳しく、各章の内容について触れるのは避け、各章を“エッセイ”という形で本盤を追補してみる。
#第一章
宇宙戦艦ヤマトの活躍により元の姿を取り戻した「地球」
時に西暦2202年、どこまでも青くも美しい地球の陰で密やかに進められる計画・・・
そんな地球へ異議を唱え、反逆者になろうとも平和を求め、古代たちを乗せた宇宙戦艦ヤマトは地球を飛び立ち、未知なる明日へ―
#第二章
あらゆる次元をも超越する存在とされる「テレサ」、そのテレサの正体とは?
そして伝えられたメッセージ
#第三章
滅びの方舟を操り、宇宙を滅ぼすガトランティス
そして、愛を知る者と嘯く大帝ズォーダー
謎多き「白色彗星」は地球を目掛けて、侵攻をはじめた!
<白色彗星の音楽の系譜を、音楽で紐解きつつ、キース・エマーソンへ捧ぐ
白色彗星と大帝ズォーダーは一つに還る>
#第四章
ガミラス人で「暗躍」する影が二つ
その内、密かにある艦へ影を落とすものが一人
#第五章
ヤマト乗組員の一人、加藤
彼には一人の息子がいた
任務を全うしつつも、やはり思い出す「翼」の姿
ヤマト乗組員であり、翼の父親である加藤の愛
#第六章
間髪入れず、遂に戦いの火蓋は切られた!
戦いからは逃れられない、愛する人を守るために
そして、古代たちは決意する
地球・ガミラスとガトランティスとの「鬩ぎ合う力」は多くの犠牲を払い、それでも果てしなき戦いは続く
#第七章
古代と婚約したユキ
戦いは、そんな彼女の幸せをも奪い、悲愴な運命へ巻き込んだ・・・
それでも前へ、前へ進む
「愛」が導く、明日への希望へ―
#カーテンコール
交響組曲を最後まで聴いたあなたへの、彬良さんからの大いなるサプライズ
<収録時には存在しなかった曲で、収録後に宮川彬良氏の要望により、実現したサービス曲>
○メディア/発売日/型番
CD 2021年01月15日(LACA-15855)
配信 2021年01月15日(LACA-15855)
配信 2021年01月15日(LACA-15855) ※ハイレゾ
○収録内容
Tr. | 曲タイトル | タイム |
---|---|---|
01 | 第一章 地球 (銀河の胎動~再生の序曲/アンドロメダ/ヤマト発進) |
07′18″ |
02 | 第二章 テレサ (テレサより、人間たちへ/追記) |
05′19″ |
03 | 第三章 白色彗星 (白色彗星の系譜[キース・エマーソンに捧ぐ]/大帝ズォーダー) |
08′00″ |
04 | 第四章 暗躍 (独裁者[デスラー]の悲哀~潜航する者[ヤマト]) |
03′02″ |
05 | 第五章 翼~かならずここへ~ (哀しみのヤマト/消えゆく命) |
02′00″ |
06 | 第六章 鬩ぎ合う力 (決意の翼[ドッグ・ファイト]/ガトランティス襲撃/虚空の邂逅/方舟の覚醒[シャンブロウ]/果てしなき戦い/ヤマト渦中へ) |
14′15″ |
07 | 第七章 愛 (続・銀河の胎動/大いなる愛~終曲) |
05′24″ |
08 | カーテンコール | 04′34″ |
(Total: 49′52")
※【】内は「使用楽曲リスト」等での曲タイトル、≪≫内はサイトオリジナル補記の曲タイトル
●「概況と解説」担当:
にしこ(OS-12、OS-13-14、SS-03)
福科考∞譜観(TS-38、TS-39、TS-40)
ひめのきみこと(TS-41)
●「EX解説」担当:
福科考∞譜観(OS-12[協力:せぶん]、OS-13-14、TS-41、SS-03)
(敬称略)