ストーリー

 

 生命の誕生には宇宙の巨大な神秘と自然の摂理があった。
約40億年前、地球が誕生して間もない頃、水の惑星アクエリアスにより水と生命の源が齎されたのだと古代オリエントの粘土板にあるアクエリアス神話にはそう書き記されていた―


 時に西暦2203年、銀河系の彼方で大きな異変が突如として起こった。
異次元の空間から現れた別の銀河系星雲が銀河系と交叉し、多くの星々が消滅。核恒星系にあるガルマン・ガミラス帝国、ボラー連邦も共に壊滅の危機にあった。
この異変を察知した地球防衛軍は、ヤマトを調査の為、核恒星系へと派遣させた。ヤマトがガルマン・ガミラス星へと到着するもそこにあったのは無残に崩壊したデスラーパレス、まさに廃墟であった。上空には小惑星スターシャが寂しく浮かぶのみ…
デスラーの命運は尽きてしまったのか?!


 ヤマトは調査航海の最中、回遊惑星アクエリアスを発見する。
地球へ調査報告をした後、突然謎の移動要塞艦隊よりハイパー放射ミサイルの奇襲を受けた!そしてヤマトの反撃も虚しく、ヤマト乗組員は全員倒れてしまう。
未知なる兵器、ハイパー放射ミサイルによるダメージは凄まじく、ヤマトは近くの第9惑星へと果てしなく堕ちてゆく・・・


 無限に広がる大宇宙、そこには無数の神秘がある…
その神秘によって、星々は生々流転、繁栄と衰退の歴史を繰り広げるのだ―
ヤマトよ!目を覚ませ!!


作品概況

 1983年3月19日に劇場用作品として上映された『宇宙戦艦ヤマト 完結編』は、『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの節目として作られた文字通りの“完結編”である。実は製作が予定通り進まず、上映後も製作が続けられ、同年11月5日には新規カットを含めた再構成とモノラルから6chサラウンド音響化、そして70mmフィルムを使用した『宇宙戦艦ヤマト 完結編 70mm版』が上映された。(これに対し、初回上映版は「35mm版」と呼ばれている)尚、現行の映像ソフトで見られるのは後者の70mm版である。本作をもって『宇宙戦艦ヤマト』シリーズは一旦の終わりを迎えた。
通称:「完結編」「ヤマト完結編」「ファイナルヤマト」等

上映に先立ち、1983年1月16日に本作の録り下ろしドラマを含めた4時間に渡るラジオ番組『オールナイトニッポン・スペシャル ドキュメンタリー宇宙戦艦ヤマト』が放送された。後に、『オーディーン 光子帆船スターライト』の併映として短縮編集した『宇宙戦艦ヤマト 完結編 特別篇』が1985年8月10日より上映されている。


 本作『宇宙戦艦ヤマト 完結編』は、前作『宇宙戦艦ヤマトⅢ』の続編となる。本作の続編は『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』

音楽概況

作曲:宮川泰、羽田健太郎

編曲:宮川泰、羽田健太郎、宮川彬良

指揮:大友直人、宮川泰、羽田健太郎

音響監督:田代敦巳、本田保則

演奏:シンフォニック・オーケストラ・ヤマト

収録:1982年03月10、14日(『宇宙戦艦ヤマト ファイナルへ向けての序曲』
   1983年03月06、07日...他

収録曲数:約250曲

主題歌:古代(おれ)とヤマト
<作編曲 - 宮川泰 / 作詞 - 阿久悠 / 歌 - ささきいさお>

主題歌:ラブ・シュープリーム~至上の愛~
<作曲 - 八神純子 /編曲 - 宮川泰 / 作詞・歌 - 八神純子>

挿入歌:二つの愛
<作曲 - 井上大輔 /編曲 - 宮川泰 / 作詞 - クニ河内 / 歌 - 桑江知子>

挿入歌:明日に架ける虹
<作曲 - 井上大輔 /編曲 - トランザム / 作詞 - 阿久悠 / 歌 - トランザム、桑江知子>

挿入歌:宇宙戦艦ヤマト’83
<作編曲 - 宮川泰 / 作詞 - 阿久悠 / 歌 - ささきいさお>

イメージソング:ヤマトの賦―海神―
<作編曲 - 宮川泰 / 作詞 - 阿久悠 / 歌 - ささきいさお>

 

― 本作の音楽特徴として、まずは何と言っても羽田健太郎氏の起用です。マンネリ化を避けるべく、新たな血を入れるとした理由のみならず、本作ではスケールが大きい作品であるが故にクラシック音楽の要素が必要だという事から起用したという経緯でした。
羽田健太郎氏はこれまで『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』の音楽からピアニストとして参加されていましたが、本作で宮川泰氏とタッグを組むことになり、それはあらゆる面でヤマト音楽の広がりや多彩さを生み出しました。ヤマト側の音楽を主に宮川泰氏が、敵(ディンギル)側の音楽を主に羽田健太郎氏というスタイルで音楽が創られ、更に同一音楽メニューによるコンペ形式での作曲といった点も本作の音楽性を高めた要因です。
ガットギターを活かしたスパニッシュ、云わばスペイン音楽の要素を組み込んだ「移動要塞」「超巨大戦艦ガルンボルスト」「神殿部の斗い」等といった曲や、9分を超えるピアノコンチェルトの大作「SYMPHONY OF THE AQUARIUS」は本作の代表曲でしょう。他にも雪や島、ディンギル少年といったキャラクター等のテーマの大~小編成に至るまでの多彩な変奏曲の多さも本作の音楽の特徴であり、収録時間・楽曲数は『宇宙戦艦ヤマト』シリーズ最高峰です。

 本作では音楽集とは別に、イメージアルバムとして1982年5月21日に『宇宙戦艦ヤマト ファイナルへ向けての序曲』が発売され、音楽とナレーションによる本作に向けた一大序曲が展開されました。それはこれまでなかった内容・コンセプトで、“宇宙戦艦ヤマト”“戦艦大和”“大和民族”“人類の起源”“生命の起源”という本作における重大な要素とそのドラマを音楽とナレーションで表現するという非常にクオリティの高いもので、中でも「水物語」における弥生の笛を用いた音楽はもっと評価されるべき意欲的なものでしょう。イメージアルバムとされながらも、本盤において収録された音楽は、本編でも効果的に使用されています。
音楽集はこれまた異例で、2社のレコード会社(日本コロムビアと徳間音楽工業)から上映前後に計5タイトルものアルバムが発売されました。上映前後にこれほどのアルバムが出たのも『宇宙戦艦ヤマト』シリーズにおいて初の出来事でした。この出来事だけでもヤマト音楽の偉大さが伺い知れる事でしょう。


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